黒キクラゲは“血”と“巡り”を整える食薬

黒キクラゲは“血”と“巡り”を整える食薬。日々の食卓で取り入れたい理由。

こんにちは、管理栄養士のMです。今日は、私が長年の病院勤務の中でも「もっと食卓に普及してほしい」と思ってきた食材、黒キクラゲについてお話ししたいと思います。

黒キクラゲは、一般的には「食物繊維が多い」「美容に良い」というイメージが強いかもしれません。しかし中医学の視点を加えると、その魅力はさらに深く、広がりを見せます。

黒キクラゲは「血」を美しく保つ食薬

黒キクラゲは中医学で補血・活血(血を補い、巡りを改善する)の働きがあると言われています。

私は病院で貧血や血流障害の患者さんを多く見てきましたが、食事の面から改善を図るとき、黒キクラゲは非常に扱いやすい食材です。

中医学での働き

  • 血を増やす(補血)
  • 血の巡りをよくする(活血)
  • 乾燥を潤す
  • 便通を整える

黒い色の食材は“腎”を養うとされ、生命力や老化予防にも関わります。日々の疲れや乾燥、冷えなどが気になる方にも向いている食材です。

栄養学的にも優秀な黒キクラゲ

栄養士としての視点では、黒キクラゲは特に以下の点が魅力です。

  • 不溶性食物繊維が豊富で、腸の動きを助ける
  • ビタミンDの前駆体(エルゴステロール)が含まれ、骨の健康に役立つ
  • 鉄やカリウムも含む
  • 低カロリーで満足感がある

つまり「毎日でも取り入れやすく、負担の少ない食品」であることが最大の利点です。

黒キクラゲは女性の強い味方

中医学では、血は「心」と「肝」と深く関わります。

  • 心(しん)=精神の安定に関わる
  • 肝(かん)=血を蓄え、全身に巡らせる

黒キクラゲの補血作用は、PMS、更年期、慢性の疲れ、不眠などのケアにも応用できます。私自身、患者さんへの食養生指導でよく提案してきた食材です。

血を補って巡らせる「黒キクラゲ料理」

黒キクラゲはクセが少なく、どんな料理にも合わせやすいのが特徴です。例えば次のような組み合わせがあります。

① 黒キクラゲと卵の中華炒め

補血の黒キクラゲと、養心安神の卵の組み合わせ。忙しい日の一品としても取り入れやすいメニューです。

② 黒キクラゲの酢の物

血の巡りをよくする酢と合わせて、活血作用がアップします。さっぱりといただけるので、食欲が落ちているときにも良いです。

③ 黒キクラゲ入りの薬膳スープ

鶏肉やきのこと合わせると、体を温めながら血を養う一杯になります。特に「乾燥」「冷え」「血の不足」を感じやすい冬場には、温かいスープで取り入れるのがおすすめです。

“今日のひとこと食養生”

黒キクラゲは、派手ではありませんがとても頼りになる食薬です。

血を整えることは、体を整えること。
巡りを整えることは、心を整えること。

日々の小さな不調は、食卓を少し見直すだけで変わることがあります。食べものの力は、思っている以上に大きいものです。

ぜひ、今日の食卓に“黒キクラゲ”をひとつ加えてみてください。

【投稿:管理栄養士「M」】