【シリーズ:腸の問題を考える 最終回】腸の問題を中国医学で考える

腸の問題を中国医学で考える

腸疾患の連載を通して一貫して見えてきたのは、病名は違っても根っこにあるのは 「気血津液の巡りが腸の中で停滞し、詰まり・漏れ・熱化・冷え・むくみとして表に出る」 という構図です。潰瘍性大腸炎は“守れず漏れる(陰の漏れ)”、クローン病は“熱が迫って押し出す(陽の迫り)”。IBSは器質的な異常よりも、ストレスで気機が乱れ、胃に詰まり、腸に波及する「交通の乱れ」が主役でした。感染性腸炎でさえ、外から来たものだけでなく、体内に詰まりや停滞があると燃え広がりやすい。虚血性腸炎もまた、血が届かないだけでなく、心血虚・脾不統血・腎虚・湿が重なり、巡りと保持が同時に弱って起きる――こう整理すると、腸はいつも「全身の状態の鏡」だと分かります。

だから改善は“一つの薬で一発”にはなりにくい。腸は日々の暮らしの影響を最も受ける臓器で、しかも気血津液の工場でもあります。詰まりをほどき、漏れを止め、熱を抜き、冷えを追い、湿をさばく。これを同時に成立させるには、薬だけでなく 生活設計 が必要になります。季節のエネルギーを読み、太陽の陽気を取り込み、体を動かして巡りの道を作り、食事で“負担を減らし、材料を補う”。そして睡眠で回復を確保し、ストレスで気機が乱れるなら呼吸で整える。こうした積み重ねが、腸の環境を変え、再燃しにくい体の土台を作ります。

大切なのは「自分はどのタイプか」を知ることです。熱が勝つのか、冷えが勝つのか。湿が重いのか、乾きが強いのか。緊張で止まるのか、怒りで熱が走るのか。ここを理解できると、やるべきことの順番が決まります。腸の病は怖いものではありますが、裏を返せば“体の状態を教えてくれる”領域でもある。自分の体質を知り、改善に向けて自発的に取り組む――それが、この連載が伝えたかった中医学の結論です。

【シリーズ:腸の問題を考える第8回】

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