【シリーズ:腸の問題を考える第7回】IBS(過敏性腸症候群)は「気機の病」

IBS(過敏性腸症候群)は「気機の病」――ストレスが腸を乱す4つの型

 

IBSは検査で大きな異常が見つからないのに、腹痛や下痢・便秘、残便感が続く状態です。中医学で見ると、これは腸そのものの器質病変というより、気機(気の巡り=体内交通)の乱れが主役になります。
そしてIBSには虚実がありますが、ここではご提示の通り、**「健康なのにストレス過多で起きるIBS(実寄り)」**を中心に整理します。体が弱い(虚が土台)の場合は炎症性腸疾患と重なりやすく、別枠で扱う方が理解しやすいからです。

1)不安・緊張型:体が硬直して「気が中に止まる」

不安や緊張が続くと、呼吸は浅くなり、肩や胸、腹がこわばります。すると気の通り道が狭くなり、気機が巡れず内側で渋滞する。
この渋滞が腸に及ぶと、腹部膨満、差し込む痛み、急な便意、残便感が出て、IBSらしい症状が形になります。
「電車が止まると、駅も街も詰まる」ように、体内交通が止まると下焦にも影響が波及します。

2)考えすぎ型:胃に気が滞り、下へ降りない

思考が過多になると、気は“頭”と“胃”に集まりやすくなります。中医学的には、胃気が渋滞して降りない状態です。
すると食後に張る、げっぷ、胃もたれ、みぞおちのつかえが出やすく、同時に腸はリズムを失います。便秘と下痢が交互になったり、「出そうで出ない」が続くのもこの型の典型です。
つまり腸が悪いというより、胃の気が詰まって腸の運行が乱れるという見立てです。

3)イライラ・怒り型:熱が生まれ、下へ落ちて腸が荒れる

イライラが強いと、気は上衝しやすく、体内にが生まれます。その熱が下へ走ると、腸は急かされ、下痢・切迫便意・肛門の灼熱感のような形で出ます。
このタイプは「ストレスの直後に一気にくだる」「辛い物や酒で悪化」「眠りが浅い」といった特徴が重なりやすい。
IBSの中でも、熱で腸が動きすぎる型です。

4)極度の悲しみ型:気が虚して空っぽになり、消化できずに乱れる

悲しみや喪失のストレスは、気を消耗させ、内側が“抜けた”ようになります。中医学的には気虚(空っぽ)の方向。
すると胃腸を動かす力が落ち、食べたものを運べず、停滞と不安定が同居します。下痢になったり、逆に詰まったり、症状が一定しません。
ここでは「実のIBS」として仮定しつつも、この型だけは気を削るストレス
として、例外的に押さえておくと理解が立体になります。


まとめ:IBSは「腸の問題」ではなく「気の交通の乱れ」

IBSを気機の病として見ると、同じ下痢・便秘でも原因が変わります。

  • 緊張:硬直して気が止まる

  • 考えすぎ:胃で気が詰まり降りない

  • イライラ:熱が生まれ下へ走る

  • 悲しみ:気が虚して動かせない

次回はこの4型を、**観察ポイント(便の質・腹痛の出方・舌象・悪化因子)と、生活設計(呼吸・睡眠・食・動き)**に落として、IBSの「整え方」を実用化していきます。

*観察ポイント(便の質・腹痛の出方・舌象・悪化因子)と、生活設計(呼吸・睡眠・食・動き)**に落として、IBSの「整え方」をお願いします。どちらかというと生活設計中心でお願いします

IBSの「整え方」――型別の観察ポイントと生活設計(生活設計メイン)

IBSは「腸そのもの」より、**気機(気の交通)**が乱れて起きると捉えると、整え方はシンプルになります。
やることは2つだけです。

  1. 自分の型(主役のストレス)を決める

  2. その型に合わせて、呼吸・睡眠・食・動きの順に生活を組み直す


まず共通ルール(全タイプ共通の土台)

  • 朝の腸は“確認”であって“追い込み”ではない:トイレを急がせない(時間に余裕を確保)

  • 食事は「量よりリズム」:欠食→ドカ食いがいちばん腸を乱す

  • 刺激の三点セットを減らす:カフェイン過多・辛味過多・夜更かし

  • 「治そうとして緊張する」ほど悪化する人が多い:腸は副交感神経で動く

この土台の上で、型別に調整します。


A)不安・緊張型(硬直して気が中に止まる)

観察ポイント

  • 便意が急に来る/外出前に悪化

  • 腹が張って硬い、差し込む痛み

  • 息が浅い、胸が詰まる、肩首が固い

  • 悪化因子:予定・人前・電車・会議など「緊張の場」

生活設計(最優先:呼吸→動き→食→睡眠)

呼吸(1日3回、30秒でいい)

  • 吐く息を長く(吸う:吐く=1:2)

  • 吐く時に「お腹がゆるむ」のを確認(腹圧を抜く)

動き

  • “速歩”ではなくゆっくり一定のリズムで10〜15分歩く

  • 目標は「心拍を上げる」ではなく硬直をほどく

  • 外出前は「量を減らして、温かく、単純に」

  • 生野菜・冷たい飲み物・乳製品が合わない人はこの型に多い

睡眠

  • 寝る直前の情報(SNS・仕事)を切る

  • 眠りの浅さ=緊張が抜けていないサインと考える


B)考えすぎ型(胃に気が滞り、下へ降りない)

観察ポイント

  • 食後に張る、げっぷ、みぞおちのつかえ

  • 便秘⇄下痢、残便感

  • 悪化因子:作業・思考が止まらない、画面の見過ぎ

生活設計(最優先:食→呼吸→動き→睡眠)

食(ここが主治療)

  • 1回の量を減らし回数を増やす(腹八分より“腹六〜七分”)

  • 食後すぐ座り込まず、3〜5分だけ歩く(胃気を降ろす)

呼吸

  • 食前に10呼吸:「吐く息長め」で胃の緊張をほどく

  • 思考が止まらない時ほど“吐く息”が短くなっています

動き

  • 背中〜みぞおちが固いので、胸郭を開くストレッチを短く

  • 「伸ばす」より「ほどく」感覚

睡眠

  • 就寝前に“思考のメモ出し”を1分:頭の中から外に出す

  • 脳の渋滞を抜くと、胃の渋滞も抜けやすい


C)イライラ型(熱が生まれ、下へ落ちて腸が荒れる)

観察ポイント

  • 下痢、切迫便意、肛門の灼熱感

  • 口渇、眠りが浅い、顔がほてる

  • 悪化因子:怒り・焦り・睡眠不足、辛味・酒・カフェイン

生活設計(最優先:睡眠→刺激カット→呼吸→動き)

睡眠(最優先)

  • 就寝時刻を固定(長さより“時刻の安定”)

  • 夜更かし=熱を増やす装置、と割り切る

食(“熱の燃料”を切る)

  • 辛い物・揚げ物・酒・濃い味をまず減らす

  • 冷やし過ぎは逆効果なので、温かく軽い食で落ち着かせる

呼吸

  • 早口・早食いの人が多いので、吐く息を長く+食事をゆっくり

  • “急かす気”を下へ落とさないのが狙い

動き

  • 激しい運動は熱が増えることがある

  • 夕方の散歩、ぬるめの入浴などで“熱を抜く道”を作る


D)悲しみ型(気が虚して空っぽになり、消化できず乱れる)

※ここは「実のIBS」仮定の中でも、生活設計は虚寄りの立て直しになります。

観察ポイント

  • 食欲が落ちる、食べるとすぐ疲れる

  • 便が一定しない(下痢にも便秘にも寄る)

  • 悪化因子:孤立、疲労、睡眠の乱れ

生活設計(最優先:睡眠→食→呼吸→動き)

睡眠

  • “寝だめ”より毎日の回復を作る

  • 起床後すぐ日光(体内リズムを立てる)

  • まずは消化できる量まで落とす(回復の邪魔をしない)

  • 温かい汁物+少量のタンパクを軸に「作れる日常」を優先

呼吸

  • 深呼吸より、ため息でいい(気を補う入口を作る)

動き

  • 運動で治すより、外に出て気を巡らせる(5分で十分)


仕上げ:1週間の“整えメモ”で型が確定する

毎日3行だけ書くと、IBSは整理しやすいです。

  1. 便:回数/切迫/残便感/痛み

  2. 体:口渇・ほてり/冷え/睡眠の質

  3. 引き金:緊張・考えすぎ・怒り・悲しみ(どれが強かったか)

 

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