【シリーズ:腸の問題を考える第6回】クローン病「陽の迫り」を実践化

クローン病「陽の迫り」を実践化――便・舌・悪化因子で“自分の型”を判定し、養生を組み立てる

前回はクローン病を「陽の迫り」として、①湿熱(蒸れて熱い)②乾燥・陰液不足(潤いが削られる)③気血の逼迫(ストレスで暴れる)という3つの主役で整理しました。
今回はこれを、読者が日常で使える形に落とし込みます。目的は自己診断ではなく、悪化の引き金と、今の体の向き(病機)を掴んで、養生の優先順位を決めることです。


ステップ1:まず「主役」を1つ決める(混在はOK)

以下のチェックで、いちばん当てはまる列を“主役”にします。二つ以上当てはまる場合は、一番つらい症状を作っている列を優先してください。


A)湿熱タイプ:腸が“蒸れて熱い”

便の特徴

  • 臭いが強い/ねばつく

  • 粘液が多い、切迫便意(急に来る)

  • 肛門が熱い、灼ける感じがある

舌の特徴

  • 黄苔、黄膩(ねっとり黄い苔)

  • 舌面が湿ってテカる、べたつく

悪化因子(引き金)

  • 辛い物、揚げ物、甘い物、酒

  • 夜更かし、過密スケジュール

  • 暑さ・蒸し暑さで悪化

養生の組み立て(優先順位)

  1. “蒸れを作るもの”を止める(甘い物+油+酒+夜更かしが最優先)

  2. 食事は「軽く・単純に」:温かい消化しやすいもの中心(※冷やし過ぎない)

  3. 動きは「汗をかく前の散歩」程度から。やり過ぎると熱が増える人もいる

  4. 体感の目標は「便意の切迫が減る」「臭いが落ち着く」


B)乾燥・陰液不足タイプ:腸が“乾いて裂ける”

便の特徴

  • 回数が多いのに量は少なめ

  • しぶり腹・残便感が混じる

  • 出血が続きやすい/治りが遅い感覚

舌の特徴

  • 舌が紅い〜濃い紅(絳)

  • 苔が薄い、剥げる、裂紋が出やすい

悪化因子(引き金)

  • 睡眠不足、過労、夜型生活

  • カフェイン、刺激物、乾いた食事(パン・スナック中心)

  • 発熱・炎症の波のあとに乾きが強くなる

養生の組み立て(優先順位)

  1. “乾かす生活”を止める(夜更かし・カフェイン・刺激を減らす)

  2. 食は「潤いと回復材料」を意識:温かいスープ、消化の良いタンパク源を少量ずつ

  3. 入浴・深い呼吸で“火を鎮める”方向へ(興奮を下げる)

  4. 体感の目標は「口渇が落ち着く」「便の回数が減る」「眠りが深くなる」


C)気血の逼迫タイプ:ストレスで“炎症が暴れる”

便の特徴

  • 症状の波がストレスと連動する

  • 張る痛み、キリキリ、差し込む痛み

  • 出ると少し楽だが、またすぐ行きたくなる

舌の特徴

  • 辺縁が赤い(肝の熱サイン)

  • 紫っぽさ、瘀点が見えることも

悪化因子(引き金)

  • 緊張、怒り、我慢、睡眠不足

  • 仕事の山・人間関係の負荷

  • “頑張って治そう”と力み過ぎた後

養生の組み立て(優先順位)

  1. 腸より先に「気」を落ち着かせる(これが最短ルートになることが多い)

  2. 呼吸:吐く息を長く。胸のつかえをほどく(肝気の通り道を作る)

  3. 軽い運動:速歩ではなく“ゆるいリズム”で巡らせる

  4. 体感の目標は「痛みがほどける」「便意の波が短くなる」「肩首が緩む」


ステップ2:混在パターンの扱い方(よくある組み合わせ)

  • 湿熱×逼迫:ストレスで湿熱が燃え上がる。→「刺激物+夜更かし」より先に「緊張を抜く」

  • 湿熱×乾燥:最初は蒸れて、長引くと乾く。→“冷まし過ぎ”で乾きが悪化しやすいので注意

  • 乾燥×逼迫:焦りと不眠が乾きを加速。→睡眠設計が最重要(夜の興奮を止める)


ステップ3:毎日やる「観察メモ」3行で十分

  1. 便:回数/切迫/粘液/臭い/痛み

  2. 体感:口渇・ほてり/冷え/睡眠

  3. 引き金:食べた物・ストレス・夜更かし・運動

これを1週間分並べると、「自分の主役」がかなり見えてきます。中医学的に言えば、病名ではなく病機で暮らしを組むということです。


まとめ:クローン病の養生は「主役を見誤らない」が勝ち

同じクローン病でも、いま主役が湿熱なのか、乾燥なのか、逼迫なのかで、やるべきことの順番が変わります。
まずは主役を一つ決め、悪化因子を止め、便と舌の反応を見ながら微調整する。これが「陽の迫り」を現実の生活設計に落とす方法です。

【シリーズ:腸の問題を考える第5回】

Wordpress Social Share Plugin powered by Ultimatelysocial
Instagram
URL has been copied successfully!