クローン病「陽の迫り」を実践化――便・舌・悪化因子で“自分の型”を判定し、養生を組み立てる
前回はクローン病を「陽の迫り」として、①湿熱(蒸れて熱い)②乾燥・陰液不足(潤いが削られる)③気血の逼迫(ストレスで暴れる)という3つの主役で整理しました。
今回はこれを、読者が日常で使える形に落とし込みます。目的は自己診断ではなく、悪化の引き金と、今の体の向き(病機)を掴んで、養生の優先順位を決めることです。
ステップ1:まず「主役」を1つ決める(混在はOK)
以下のチェックで、いちばん当てはまる列を“主役”にします。二つ以上当てはまる場合は、一番つらい症状を作っている列を優先してください。

A)湿熱タイプ:腸が“蒸れて熱い”
便の特徴
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臭いが強い/ねばつく
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粘液が多い、切迫便意(急に来る)
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肛門が熱い、灼ける感じがある
舌の特徴
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黄苔、黄膩(ねっとり黄い苔)
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舌面が湿ってテカる、べたつく
悪化因子(引き金)
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辛い物、揚げ物、甘い物、酒
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夜更かし、過密スケジュール
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暑さ・蒸し暑さで悪化
養生の組み立て(優先順位)
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“蒸れを作るもの”を止める(甘い物+油+酒+夜更かしが最優先)
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食事は「軽く・単純に」:温かい消化しやすいもの中心(※冷やし過ぎない)
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動きは「汗をかく前の散歩」程度から。やり過ぎると熱が増える人もいる
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体感の目標は「便意の切迫が減る」「臭いが落ち着く」
B)乾燥・陰液不足タイプ:腸が“乾いて裂ける”
便の特徴
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回数が多いのに量は少なめ
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しぶり腹・残便感が混じる
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出血が続きやすい/治りが遅い感覚
舌の特徴
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舌が紅い〜濃い紅(絳)
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苔が薄い、剥げる、裂紋が出やすい
悪化因子(引き金)
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睡眠不足、過労、夜型生活
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カフェイン、刺激物、乾いた食事(パン・スナック中心)
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発熱・炎症の波のあとに乾きが強くなる
養生の組み立て(優先順位)
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“乾かす生活”を止める(夜更かし・カフェイン・刺激を減らす)
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食は「潤いと回復材料」を意識:温かいスープ、消化の良いタンパク源を少量ずつ
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入浴・深い呼吸で“火を鎮める”方向へ(興奮を下げる)
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体感の目標は「口渇が落ち着く」「便の回数が減る」「眠りが深くなる」
C)気血の逼迫タイプ:ストレスで“炎症が暴れる”
便の特徴
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症状の波がストレスと連動する
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張る痛み、キリキリ、差し込む痛み
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出ると少し楽だが、またすぐ行きたくなる
舌の特徴
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辺縁が赤い(肝の熱サイン)
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紫っぽさ、瘀点が見えることも
悪化因子(引き金)
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緊張、怒り、我慢、睡眠不足
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仕事の山・人間関係の負荷
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“頑張って治そう”と力み過ぎた後
養生の組み立て(優先順位)
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腸より先に「気」を落ち着かせる(これが最短ルートになることが多い)
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呼吸:吐く息を長く。胸のつかえをほどく(肝気の通り道を作る)
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軽い運動:速歩ではなく“ゆるいリズム”で巡らせる
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体感の目標は「痛みがほどける」「便意の波が短くなる」「肩首が緩む」
ステップ2:混在パターンの扱い方(よくある組み合わせ)
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湿熱×逼迫:ストレスで湿熱が燃え上がる。→「刺激物+夜更かし」より先に「緊張を抜く」
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湿熱×乾燥:最初は蒸れて、長引くと乾く。→“冷まし過ぎ”で乾きが悪化しやすいので注意
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乾燥×逼迫:焦りと不眠が乾きを加速。→睡眠設計が最重要(夜の興奮を止める)
ステップ3:毎日やる「観察メモ」3行で十分
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便:回数/切迫/粘液/臭い/痛み
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体感:口渇・ほてり/冷え/睡眠
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引き金:食べた物・ストレス・夜更かし・運動
これを1週間分並べると、「自分の主役」がかなり見えてきます。中医学的に言えば、病名ではなく病機で暮らしを組むということです。
まとめ:クローン病の養生は「主役を見誤らない」が勝ち
同じクローン病でも、いま主役が湿熱なのか、乾燥なのか、逼迫なのかで、やるべきことの順番が変わります。
まずは主役を一つ決め、悪化因子を止め、便と舌の反応を見ながら微調整する。これが「陽の迫り」を現実の生活設計に落とす方法です。

