子どもの発熱・足の不調は「気血の停滞」かもしれない〜臨床の知恵と中医学の視点

子を持つ親であれば、「熱はないのに足が痛い」「なんとなく元気がない」といった訴えに遭遇することがあるでしょう。整形外科や小児科で検査をしても問題が見当たらないケースも多く、このような“説明し難い不調”が日常的な悩みになります。そんな時、中医学の視点は有効なヒントになります。
■ ある日の臨床:発熱なしの足の痛み
数年前、7歳の男児が母親に連れられて来院しました。夜の就寝前になると、足の甲や膝に痛みを訴えて泣き出すというのです。検査では骨折も炎症も認められず、医学的に急を要する異常は見当たりませんでした。
このような痛みは、成長期の筋・骨のアンバランスや、ストレス・疲労の蓄積で起こると考えられることがあります。実際、多くの子どもが走り回ったりジャンプしたりした日の夜に痛みを訴えることがあります。
■ 中医学で見る「痛みと発熱の背景」
中医学では、身体の痛みや不快感は「気血津液(気・血・体液)」の流れの不調と捉えます。足の痛みや夜間に出る不調は、次のような内的因子で生じやすいと考えられます。
- 気滞(きたい):気の巡りが滞り、末梢まで流れない状態
- 血虚(けっきょ):血が不足し、栄養や潤いが足りない状態
- 寒凝(かんぎょう):冷えによる気血の停滞
中医学では、気血の巡りが悪くなると、痛み・硬さ・重だるさが出やすくなります。これらは単なる骨や筋の異常ではなく、体全体のバランスの乱れとして捉えるのです。
■ 五臓と子どもの不調
五臓のうち、肝は気の巡りを統括します。ストレスや緊張感が強い状態では、肝の“疏泄(そせつ)”が滞りやすくなります。これは、単に精神的なものではなく、気が巡らないことで身体が“詰まる”感覚となります。
また、消化吸収に関わる脾(ひ)の働きが弱ると、気や血を十分に生み出せず、痛みや倦怠感の背景となることがあります。
■ 自宅でできる中医学・養生的ケア
医療機関で重篤な問題がないと判断された場合、次のような“体のバランスを整える”ケアが役立つことがあります:
- 温める:足先や関節部分をやさしく温め、気血の巡りを促す
- 軽い運動:ストレッチやウォーキングで全身の気の流れを調える
- 入浴養生:ぬるめの温度で全身浴。気・血をゆっくり巡らせる
- 食養生:季節に合った温性の食材(根菜類・生姜・小豆など)で脾を助ける
■ 子どもの不調と“気のバランス”
子どもの不調は、必ずしも単一の器質的な問題ではありません。
中医学では、気血津液のバランスという視点で捉えることで、身体のメカニズム全体を読み解くことができます。
足の痛みやなんとなく元気が出ない時に、冷えを避け、気を巡らせ、血を補う生活習慣を取り入れることで、体のリズムは整いやすくなります。
子育ての日々は忙しいですが、
子どもの「なんとなく不調」は、身体全体のバランスへのサインとして受け取ることもできます。
日々のケアが、健康につながるひとつのきっかけとなれば幸いです。
投稿者:田辺(60代・鍼灸師)
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