がんと向き合う食卓。毎日のごはんで「体を守る力」を育てるという考え方
こんにちは、料理研究家です。今日は少しだけ、いつもより静かな気持ちでお話ししますね。
「がんと食事」。この言葉を聞くと、何を食べたらいいの?何を食べてはいけないの?と、構えてしまう方がとても多いです。
でも中医学の世界では、がんのときこそ“特別なもの”より、“毎日のごはん”を大切にします。
私は料理を仕事にしていますが、難しい薬膳はほとんど作りません。なぜなら、続かないから。
今日は、台所で無理なくできる中医薬膳の考え方を、そっとお伝えします。
中医学では「がん=体の中の偏り」と考えます
中医学では、がんを「突然できた異物」とは見ません。長い時間をかけて、
- 気が巡らず
- 血が滞り
- 水分が停滞し
- 体が冷えたり、逆に熱がこもったり
そうした偏りが積み重なった結果と考えます。
だから食事も、「がんに効く食材」を探すより、体の偏りを広げないことが大切なんです。

一番大切にしているのは「胃腸を疲れさせないこと」
料理をしていて、いつも思うのですが、体が弱っているときほど胃腸は繊細になります。
- たくさん食べられない
- 匂いに敏感
- 冷たいものがつらい
そんなときに、
- 生野菜たっぷり
- スムージー
- 冷たい飲み物
これ、実は胃腸には負担になることが多いんです。
中医学では、胃腸(脾胃)は“後天の気”をつくる場所と考えます。ここが弱ると、体を守る力そのものが落ちてしまいます。
がんのときの食事は「温度」と「火加減」が命
Cが料理で一番気にするのは、味より、温度と火の通し方です。
基本は「温かいもの」
湯気が立つくらいの温度。口に入れたとき、ほっとする感じ。それだけで、胃腸は安心して働いてくれます。
火は「弱め」で、じっくり
強火でガンガン炒めるより、弱火でコトコト。野菜もお肉も繊維がほどけて、体にやさしくなります。
切り方は「細かくしすぎない」
刻みすぎると、気が逃げやすくなります。ほどよく噛める大きさが、胃腸にはちょうどいい。
台所から:がんと向き合う日の一皿
かぶと鶏肉のやさしい煮物
- かぶ
- 鶏もも肉
- しょうが少々
- だし
弱火で、ふつふつ。鍋の中から、甘い香りが立ってきます。
かぶは、気を巡らせ、余分な熱をやわらかく冷ます食材。
鶏肉は、体力を支えるやさしいタンパク源。
しょうがを少し入れることで、冷えすぎを防ぎます。
「効かせる」料理ではなく、“疲れさせない”料理です。
食事は「治療」ではなく「生活」
がんの食事というと、どうしても「これを食べなきゃ」「あれはダメ」になりがちです。
でも中医学では、食事は治療ではなく、生活の一部。
毎日、台所に立てること。湯気を感じること。香りを楽しむこと。それ自体が、体と心を支える養生です。
そっと一言
がんと向き合う食卓に、正解はありません。
でも、体が「ほっとするかどうか」。それだけは、とても大切にしてあげてください。
今日のごはんが、あなたの体を少しでも楽にしてくれますように。
【投稿:健康料理研究家】

