休み明けに体が重いのは、怠けではありません ――中医学から見る「切り替え不調」
鍼灸師として長く臨床に立っております、田辺です。
連休や週末が明けたあと、
- 体がだるい
- 頭がぼんやりする
- 胃腸の調子が戻らない
- 気持ちが仕事モードに切り替わらない
こうした訴えは、毎年決まって増えます。
多くの方が「気合が足りない」「休んだのにおかしい」とご自分を責めますが、
中医学では、これはごく自然な反応と考えます。

黄帝内経に学ぶ「休み」と「動き」の関係
『黄帝内経』には、
「静と動のバランスが、気血の巡りを決める」
という考えが繰り返し説かれています。
休みの期間は「静」が多くなり、
仕事が始まると一気に「動」が増える。
この急激な切り替えに、体の中の気血津液が追いつかないのが、
休み明け不調の正体です。
休み明け不調に関わる「五臓」
特に影響を受けやすいのは、次の三つです。
① 脾 ――リズムを失いやすい臓
脾は、食べたものを消化吸収し、気血を生み出す要です。
休み中の不規則な食事、食べ過ぎ、冷たい飲食は、
脾の働きを弱らせます。
休み明けに
「胃が重い」「食欲が出ない」「体がだるい」
と感じる方は、まず脾が疲れています。
② 肝 ――切り替えを担う臓
肝は「疏泄(そせつ)」といって、
気の流れ、感情、オンオフの切り替えを司ります。
休み明けに
「やる気が出ない」「イライラする」「眠りが浅い」
と感じるのは、肝の調整が追いついていない状態です。
③ 心 ――頭と気持ちの司令塔
心は精神活動の中心です。
生活リズムの乱れは、心神を不安定にし、
集中力低下や不安感につながります。
昔の臨床で、こんな方がいました
10年以上前のことですが、
長期休暇明けになると必ず体調を崩す、50代の男性がいました。
・休み中は夜更かし
・食事は外食続き
・ほとんど体を動かさない
休み明け初日は、
「頭が回らない」「体が鉛のように重い」
と来院されていました。
脈を診ると脾気虚、肝の気滞がはっきり出ており、
体はまだ“休みの状態”のままだったのです。
鍼灸で脾と肝を整え、
休み中の過ごし方を少し変えてもらったところ、
翌年からは休み明けの不調がほとんど出なくなりました。
休み明けをラクにする中医学的養生
- 休みの最終日は「平日寄り」に戻す
- 朝食を抜かず、脾を目覚めさせる
- 軽く体を動かし、気血を巡らせる
- 夜は早めに休み、心を落ち着かせる
特別なことは必要ありません。
体の切り替えには、体の準備が必要なのです。
休み明けの不調は、体からの「調整してほしい」という声
休み明けに調子が出ないのは、弱さではありません。
むしろ、体が正直に反応している証です。
中医学は、
「無理に動かす」のではなく、
「自然に動ける状態を整える」医学です。
投稿者 田辺

