「歩くとすぐ疲れてしまう…」というあなたへ。漢方薬局から“気を育てる”お話です。
こんにちは。漢方薬局スタッフのYです。もう10年以上、いろいろなお客様にお会いしてきました。
最近とくに増えたご相談がありましてね、それが…
「歩くと疲れやすいんです」
「家の中では普通に動けるのに、外に出るとしんどくて」
というお声なんです。
年齢のせいかな、と皆さんおっしゃるんですが、私は漢方の立場から見ると、ちょっと違うところが気になってしまうんです。
今日は、そんな“歩くと疲れる方”へ、やさしく体を支えてあげる養生のお話をしたいと思います。
歩いたときだけつらいのは「気の底上げ」が足りないサイン
漢方では、気(き)=体を動かすエネルギーと考えます。
歩くというのは、本当に立派な運動でしてね。家の中の動作よりずっと“気の力”を使うんです。
だから、外に出ると疲れてしまう方というのは…
● ① 体を動かす「気」が足りていない(=気虚)
● ② 気はあるが、上半身ばかりに集まってしまう(=気の上逆)
このどちらかであることが多いんです。
「気が足りない方」は歩くとバテやすく、「気が上にのぼる方」は息が上がったり、動悸がしたり、めまいが出やすい。
どちらにしても、体が“がんばりきれない”状態なんですね。
気を育てるのは「脾胃(ひい)」の仕事
食べたものを“気”に変えるのが脾胃です。
だから、
- 朝から疲れている
- 食後に眠くなる
- 食べるとお腹が張る
- 下痢と便秘を繰り返す
こんな症状がある方は、歩く以前に脾胃が弱っている(脾虚)ことが多いんです。
私、薬局で本当によく見るんです。「疲れやすさ」と「お腹の弱り」はセットで出やすいんですよ。
ではどうやって「気」を育てるの?
ここからは、いつもお客様にお伝えしている“やさしい3つの気育て”をご紹介しますね。
◎ ① 朝いちばんで、白湯をひとくち
脾胃は“冷え”に弱い臓です。冷たい飲み物が続くと、途端に働きが鈍くなってしまいます。
白湯をひとくちでいいので飲んであげると、「今日も働いてね」と脾胃が起きてくれるんですよ。
◎ ② 歩き始める前に「肩甲骨をひと動かし」
気が上にのぼる方は、肩や背中が固まりやすい。上がった気が降りてこないから、歩くと息が切れるんです。
歩く前に背中をぐるりと回して、肩甲骨の間の“気の通り道”を開いてあげてくださいね。これだけで呼吸が楽になります。
◎ ③ 夕方は「足を温める」
夕方になるとしんどい…という方の多くは、足の気血が不足しています。脛や足裏が冷える方は、とくに要注意です。
- お風呂でふくらはぎを温める
- ドライヤーで足裏を温める
- 三陰交をやさしく押す
こうしたことで、その日の疲れがリセットされます。

実は「歩ける=気が満ちている」という証拠なんです
漢方では、歩ける・動けるというのは何よりの健康の証と考えます。
だからこそ、歩くとすぐ疲れる=気が育っていないサインなんですね。
無理に運動を増やすより、まずは気を育てる土台作りをしてあげてください。
これは、薬局で長年お客様を見てきて、私が一番お伝えしたいことなんです。
今日の“そっと寄り添う養生”
「あなたの疲れは、怠けではなく“気が不足しているだけ”ですよ。」
そう言ってあげたい方が、本当にたくさんいらっしゃいます。
誰でも、体が整えば自然と歩けるようになるんです。どうか、ご自分を責めないであげてくださいね。
【投稿:50代前半・漢方薬局スタッフ「Y」】

