動かない体は、経絡が詰まる。運動は「筋トレ」ではなく「通路づくり」です
整体師です。現場に立って20年以上、毎日いろんな体を触っています。
痛みが出る人、疲れが抜けない人、回復が遅い人。こうした体には、はっきりした共通点があります。
「体はあるのに、経絡が動いていない」という状態です。
今日は、運動を「経絡を通す技術」としてどう考えるかを、整体と中医学の両方から整理してみます。
運動不足=筋力低下、ではない
よくある勘違いですが、
- 運動不足=筋肉が弱い
- 痛い=鍛えればいい
これは半分しか合っていません。
整体の現場では、
- 筋肉はある
- でも動きが出ない
- 押すと響かない
- 温度が低い
こういう体をよく触ります。
これは筋力の問題ではなく、経絡に気血が通っていない状態です。
体は「動き+経絡」でできている
中医学では、体は骨・筋・関節の構造だけでなく、経絡という“流れの道”で保たれていると考えます。
整体的に見ると、
- 肩甲骨が固まる → 手の陽経(大腸経・三焦経・小腸経)が詰まる
- 股関節が動かない → 足の陰経(脾・肝・腎)と陽経(胃・胆・膀胱)が止まる
- 背中が丸まる → 督脈と膀胱経が働けない
動きが止まる=経絡も止まる。これは現場で触っていると、はっきりわかります。
「動かない体」に起こる典型パターン
整体師としてよく見る流れです。
- 同じ姿勢が続く
- 筋肉が縮んだまま固定
- 経絡が圧迫される
- 気血が流れない
- 冷え・だるさ・重さ
- やがて痛みになる
この段階で「鍛えよう」とすると、詰まった通路に無理やり力を流すことになります。
これが運動して悪化する人の正体です。
運動の本質は「経絡を動かすこと」
整体師としての結論はシンプルです。
運動の目的は、筋肉を鍛えることではない。
経絡を動かして、気血を通すこと。
だから、
- 回数は少なくていい
- 負荷は軽くていい
- 正しい方向に動くことが大事
特に大事なのは、関節を「端から端まで」使うことです。これで経絡が一気に反応します。
整体師Tがよく使う「運動×ツボ」の考え方
運動とツボは、実は相性がとてもいい。
肩・首が固い人
肩甲骨を動かす + 合谷・手三里
→ 手の陽経が一気に通る
胃腸が弱い・疲れやすい人
股関節をゆっくり回す + 足三里・陰陵泉
→ 脾胃の経絡が目を覚ます
腰が重だるい人
背骨をひねる + 委中・腎兪
→ 膀胱経と腎の気が動き出す
整体では「動かして、触って、流す」この組み合わせをよく使います。

Tが勧める「体を壊さない運動の順番」
これは現場で必ず伝える順番です。
① まず関節を動かす
肩甲骨・股関節・背骨 → 経絡の通路を開ける
② 次に呼吸を合わせる
吐く息を長く → 気が下がり、巡りが安定する
③ 最後に軽く刺激
ツボを押す・さする → 流れを定着させる
いきなり筋トレはやりません。通してから、使う。これが体を壊さないコツです。
まとめ:運動は「整体の続き」
整体の立場から言うと、運動は健康法ではなく日常でできる自己整体です。
体は、経絡が通れば、勝手に回復します。
「何を鍛えるか」より、「どこを通すか」。これを意識するだけで、運動の質はまったく変わります。
【投稿:整体師50代男性】

